奥にいる店主の方へ足を進めて行くと
相変わらず本を読んでいる
手を止めたと思ったら本を開いたまま隣に積み上げられた本を取ろうとしていた
変わらないなあ
苦笑いとおかしさの中
少し前に拾った手元のノートについて聞こうと
した瞬間
「それ」
奥にいる店主の方へ足を進めて行くと
相変わらず本を読んでいる
手を止めたと思ったら本を開いたまま隣に積み上げられた本を取ろうとしていた
変わらないなあ
苦笑いとおかしさの中
少し前に拾った手元のノートについて聞こうと
した瞬間
「それ」
ついた
‥‥
営業終了時間間際のせいなのかより一層暗い
ほんと暗い
まだ営業時間なのに商売気がないな
ガラス引き戸を少し押しながら引く
奥で店主がいるが本を読みこちらに目をやりまた読み出した
こんばんは
お久しぶりです
「3.20 谷 店にて 参考 」
掠れたとこや字の崩れもあり一部分しか読めない
なにこれ
店?
谷がつく店
あったっけ?
あ‥
ある
今にも倒壊しそうな
営業してるかどうか分からない薄暗い
やる気のない古い木造立ての
九谷商店
主に文具と古本を扱ってるお店
品揃え良いんだよね
意外に
私も見つからない欲しい文具や本はそこへ足を運んでいる
でもネットに情報も無いホームページもないし
その上地図にも乗ってない
タウンページには載ってる
時代錯誤なお店
寄ってみようか
これ他と違う?
紙の色も微妙に褪せてる
パラパラめくってみると途中筆圧跡があった
消した感じではないから
書いたページは切り取ったのか
首を捻る
あ
角度を変えると
文字らしきものが見える‥?
目を凝らして読み取っていく
えーと
なになに
「」
朝は落ちてなかったし
その後誰か落とした
ここの道は車が通るには少し狭い
利用するにも住民じゃない人にはちょっと不便なとこあるんだよね
分かりづらいし
どうしたものか
ページが外れて紙が落ちてきた
うわ
落っこちた
持ち主に申し訳ないな
思いつつ落ちたページの一部を拾い上げる
恐る恐るめくってゆく
残念ながら名前はどうやら書いてなさそう
少し気になるのは
白紙
表紙は使用された様な跡があるのに
何も書かれていない
とゆうよりページが切り取られてる
ごっそり
だからか厚みが揃ってない
‥‥‥‥
気になる
仕事終わりの帰り道
何か白いものが視界に入る
横目で通り過ぎた
思わず立ち止まる
昔よくこだわり好んで使っていた
少し変わった色、デザイン、用紙
のポケットタイプのノート
驚いた
懐かしい
まだあったんだ
残念に思った
製造休止のニュースを思い出す
私みたいな根強いファンが意外にいたんだよね
落し物
探してるかも
名前は書いてないかな
罪悪感持ちつつもそっと拾い上げる